2007年05月13日

オリガ・モリソヴナの反語法

 久しぶりに本を読んで泣きました。これは面白かった。
 チェコのソヴィエト学校のダンス教師の謎を解くべく、その足跡を尋ねて主人公がモスクワへ飛ぶ。物語がまさかスターリン時代の強制収容所にまで話が及ぶ展開になるとは思いませんでした。
 理不尽に収容所に送られてゆく人々が受ける仕打ち。そのなかで逞しく生きる人々、そしてそれらの人々のその後。その後も収容帰りという烙印で生活は不自由になる。時代とはここまで人々の人生をぼろくそにできるものなのですね。

 タイトルになっている登場人物のオリガ・モリソヴナは主人公がチェコのソヴィエト学校時代のダンス教師で、その教師人の中でも異彩を放つ存在なのですが、物語が進むうちに自分としては、奇特な人物から物凄く魅力ある人物に変貌していました。一元化して物事をいうのもなんですが、女は強し!といった感想を持ちました。登場人物のメインは全て女で、全員強烈なのですが…。

 ドイツの強制収容所は有名ですが、ソヴィエトにもそういう収容所がありました。これは日本人も多くの人が入れられていますから、どちらかというと悪い意味で身近かもしれません。かくいう私の亡祖父もぶち込まれたらしいですが、今はどこの収容所だったかの足跡が分からないのが残念。物語に出るのはカザフスタンの収容所ですが、これは日本軍を収容して板前の話で、ソ連人を収容していたものになります。
 そういえばウズベキスタンのタシケントにあるナヴォイ劇場なんかは、日本軍の収容者が建てたとかだったかな。見たか見てないか覚えてない。

 著者のことを多少でも知っている人ならば、この作品は著者の経験がベースになっていることはわかります。本当にこの人の作品は毎回面白く読んでいます。故人となってしまったのが悔やまれます。今回のはエッセイではなく小説ですが、これもロシア好きにはたまらない内容でした。

 ナチの収容所に関しては色々調べたことがありますが、ソヴィエトの方はあまりよく知りませんでした(あったのくらいは知ってましたけど)。スターリン時代の話について、この小説を読んで興味がわいてきました。(で、ソルジェニーツィンを読んだのはこのあとです。あの小説は一切の悲劇性というやつを排除したものでしたけど)
 それにしても収容所の生活というのは辛い。
 悲劇は悲劇に違いありませんが、悲劇とは甘美なものです。
 悲劇だけじゃなくて、勿論いつものように笑いもありますけどね。
posted by 煩悩即菩薩 at 19:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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